ザーフィアスに着いて、城には戻らずに、そのままの足で彼の部屋へと向かった。 帝都の外にバウルが止まっていたので間違いない。 きっとユーリは今、帰ってきている。 いったい、いつ帰ってきていたんだろう。 おそらく彼のことだから、僕の部屋に何度か訪れてくれてはいるんだろうけど。 最近は『凛々の明星』も忙しくなってきているようで、彼らも各地を飛び回っているようだ。 ただでさえ騎士団長の仕事が忙しくて中々時間が取れないというのに、ユーリも忙しくて、すれちがいの毎日だ。 まだ彼は、この町にいるのだろうか。 またすれちがいなんてゴメンだ。 焦る気持ちを抱えながら、彼の部屋へと続く階段を足早に上った。 「ユーリ.....うわっ!」 一応ノックはしたものの、返事を待ちきれなくて扉を開いて、飛び込んできた光景に驚いてしまった。 部屋の中に、ユーリは居た。 上半身裸で。 「ごっ、ごめん!」 「はぁ?おま...何謝ってんだよ。男同士で」 「いや、それはそうなんだけど、心の準備ができてなかったから......」 「あのな......」 確かに男の裸なんて見てもどうってことないし、ましてやユーリの裸なんて上半身どころかもう色々と見慣れているハズなのに、やっぱり不意打ちだとドキドキしてしまう。 だって、ユーリは綺麗だから。 こんな事を言うと、彼はすぐに不機嫌になってしまうから口にはしないけれど。 ユーリは呆れのこもったため息を僕に向けて、服を着はじめた。 「出かけるのかい?」 「ああ、これからマンタイクに。ギルドに依頼があってな。カロルたちと市民街の入り口で待ち合わせしてんだ」 「忙しいみたいだね」 「おかげさまで。そういうお前は?今、帰ってきたとこか?」 「ああ、うん......」 そう言っている間にもユーリは上着を羽織り、帯をきゅっと締めた。 「すまねぇな。バタバタしてて」 「いや、しょうがないよ」 確かにゆっくりと過ごす時間はなくなってしまったけれど、こうして一目逢えただけでもよかった。 うん。逢えないよりは、マシだ。 ユーリは荷物の中身を確認してテーブルの上に置くと、僕の目の前に立って腕を広げた。 「ほらよ」 「え?」 「何?ハグもなし?」 「えっ!いやいや!」 てっきりこのまま出かけるものだと思っていたので、一瞬ユーリの行動が理解できなかった。 でもせっかくなので、ユーリの行為に甘えてみる。 僕も両手を広げると、ユーリはふわりと懐へと入ってきた。 久しぶりの彼のぬくもり。彼の、におい。 「......久しぶりだな」 「うん。逢いたかったよ、ユーリ」 「ん。オレも......」 自然と視線が合うと、ユーリがゆっくりと瞳を閉じて、それに惹かれるように口唇を重ねた。 はじめはかさついていたけれど、お互いの唾液が混じりあうとしっとりと濡れてきて、やがて柔らかさを増していく。 舌で口唇のラインをなぞれば、そっと開いて進入を許してくれる。 促されるままに入り込んで彼の舌を絡めとって、応えるように彼もまた絡ませてきて。 「ん...ふぁ......」 彼の感じる舌先を刺激してやれば、鼻から抜けるような甘い声が漏れた。 もっとユーリを感じていたくて、ぎゅっと身体を抱きしめて。彼の細い腰を引き寄せて、もっと身体を密着させて。 どうしよう。今日のユーリ、とても素直だ。 「ちょ...フレン......」 このまま盛り上がってしまいそうだった気持ちを押し留めるように、ユーリが身をよじった。 上気した顔に濡れた口唇。すごく色っぽい。 「おま...、でっかくしてんじゃ、ねーよ」 「え?」 ユーリは顔を赤くして俯いている。 その視線の先には僕の、正直すぎる下半身。 「ごめん。ユーリがあまりにかわいいから」 「――っ、バカっ」 悪態をつきながらも、ユーリのすらりとした指が僕のベルトへと伸びた。 「えっ、ユーリ?」 「しょーがねぇから、してやるよ」 「えっ!?」 「そのかわり......」 まさか、ここまでサービスがいいなんて。じゃなくて。 ユーリの気持ちを素直に喜んでいいのか悪いのか、慌てふためいている間もユーリの指は器用にベルトをはずしていく。 かちゃかちゃと音を立てながら、ユーリがぼそりと呟いた。 「......5分で出せよ」 「ええぇっ!!??」 (2*)へつづく |
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