月の魔力に君は乱れ

大きく開いた胸元から、手を滑りこませると
彼の躯がちいさく跳ねた。
「.....っ、フレン.....」
ねだるように、ユーリが口づけを求めてくる。
月の光に浮かぶ彼の表情は、ひどく淫らだ。

ザーフィアスの城。僕の私室。

最近は、お互いに忙しくて
顔を合わせることはたまにあるのに
こうしてゆっくりと二人で過ごすのは、久しぶりだ。

お互い、欲しくて欲しくて、たまらなかった。

はやる気持ちを抑えて、ゆっくりと味わうように手を動かす。
胸の彩りに手が触れると、ちいさく声を飲み込む。
ひとつひとつの僕の動きに、ひとつひとつ反応する躯。
そう仕込んだのは僕だけど...。

「.....っ、このっ」
痺れを切らしたユーリが、ぐいと僕の身体を押した。
その力に抗うことなく、ドサリという音ともに、ふたりベッドに倒れこむ。
僕は、ユーリを見上げる格好になった。
流れ落ちる髪を、すくい上げてあげる。
ついでに耳に触れてあげると、また反応する。
いちいち反応してしまうのが恥ずかしいのか、ユーリはちいさく舌打ちした。
「今日のお前、意地悪いぞ...」
「そうかな?.......物足りない?」
「.......言ってろ」
ユーリの手が、僕の服を解きはじめる。
僕もユーリの帯に手をかければ、はらりと胸元があらわになる。
「は..ぁ...、ん...........」
順に手を滑らせれば、時折ユーリの動きが止まる。
感じているのは明らかで。
「ぁ.....、ふれ....ん.....」
僕を呼ぶ瞳が、欲で潤んでいる。
「綺麗だよ、ユーリ.....」
「...綺麗とか、ゆーな......」
お世辞じゃなく、心の底からそう思うのに。
すでに存在を誇張しているユーリのそれに、そっと手をかけた。
「はっ!あぁっ....」
待ち焦がれた快楽に、躯が歓びに震える。

そのとき。


  コンコン!


ドアをノックする音に、ふたりハッとした。。
「隊長。フレン隊長。.............もう、お休みですか?」
扉の向こうから、ソディアの声が聞こえた。
息を殺して、気配を探る。
鍵はかけてあるので大丈夫なのだが。
じっと扉を見つめつづけるユーリ。
僕はその表情を見つめたまま、手の動きを再開した。
「なっ!んんーっっ!!」
ユーリは、とっさに手の甲で口元を押さえた。
扉の向こうには、ソディアがいる。
声が漏れれば、彼女のことだ。
訝しがって中に入ってくることだろう。
紅潮した顔で、必死に声を抑える。
もう一方の手は、シーツをきつく掴んでいた。
前を寛げ、直に触れると
吐息とともにちいさく声が漏れる。
そこはすでに、先走りの液で濡れていて
くちゅくちゅと、いやらしい音を立てている。

泣きそうな顔で快楽に耐える姿が、たまらない...。

しばらくして、コツコツと、足音の遠ざかる音が聞こえた。
音が聞こえなくなるのを待ってから、ようやくユーリが声をあげた。
「てめ...っ、どういうつもり.....!バレたらマズいだ...ろっ」
「僕は別に構わないけど」
「構えよっ!.....っ、俺はこれ以上、目ェつけられるのはごめんだからな....」
「じゃあ、やめる?」
悪戯していた指を、そっと離す。
「............っ!」
ユーリの瞳に狼狽が浮かぶ。
本当は、やめてほしくなんてないくせに。
「くそっ、ここでやめたら、お前だってつらいだろがっ.....」
ユーリは僕のズボンに手をかけると
剥き出しになったそれを、口に含んだ。
「くっ............」
突然襲ってきた衝撃が、全身を駆け抜ける。
「......っ...........ユーリっ.....!」
ああ、確かに君の言うとおりだ。
もう、戻れそうにない.......。



「あっ、ああっ.....!」
座っている僕の上にまたがった状態で、ユーリは揺さぶられていた。
僕の頭を掻き抱いて、時折顔を隠すようにうなだれるけど
僕はそれを許さずに、ユーリの首筋へ顔を埋める。
「やっ....あっ!....ふれん......ふれんっ」
首を横に振りながら、快楽に溺れる。
無意識に浮かぶ腰を、ぐっと引き寄せると
「ああーっ!やだっ.....ソコっ」
「どう....?奥、あたる?」
「あた..るっ、あた....、あああ.....!」
躯をのけぞらせて、限界が近いことを主張する。
「.....っ、ユーリ......、僕も......限界...っ」
「ふれんっ、ふれ......っ、やぁっ、あああーっ!!」
ユーリの最奥で、僕を吐き出す。
ユーリもまた躯を痙攣させて、同時に果てた。


「はぁっ、はぁ......っ」
息もあがったままに、ぱたりとふたりベッドに倒れこんだ。
あまりに快楽が激しくて、余韻がなかなかおさまらない。
白く霞む視界で、息を整えていると
ユーリが僕の腹に舌を這わせてきた。
ユーリも僕も、ユーリの放ったもので白く汚れている。
それをひとつひとつ口でぬぐっていくと
僕の胸にたどりついた。
「.........んっ」
ぺろりと舐められると、また快楽が躯を駆け抜ける。
「......何?まだ、足りない?」
「......だって、今夜はたっぷり、お前を感じていいんだろ?」
挑発的な瞳を、こちらへ向けてくる。
月明かりを宿した瞳からは、妖しい香りがした。
「ああ、そうだね。今夜はまだ、終わりそうにない.......」

がっつくユーリさんに萌えですvv
フレンだって、たまにはユーリにがっついてほしいですよねっ。
でも、「たまに」だけですが(え)

(2009.10.17)



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