ユーリとフレンのとある一日。

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ユーリ「う〜ん......」
フレン「どうかしたのか?ユーリ。何か悩みがあるなら聞くよ」
ユーリ「いや、実はさ。エステルがクレープの割引券くれたんだよ」
フレン「へぇ」
ユーリ「しかも、2枚も!」
フレン「よかったじゃないか。ユーリ、甘いもの大好きだものね」
ユーリ「策略の匂いがする」
フレン「えっ」
ユーリ「そもそも、お前の休みに合わせてオレたちも休みなんて、都合良すぎね?」
フレン「そうかな?いつもの事だと思うけど」
ユーリ「しかも割引券までくれるなんて。自分たちで使えばいいじゃねぇか」
フレン「クレープ、食べたくないのかい?」
ユーリ「クレープは喰いたいけど!......だけど、何か腑に落ちねぇんだ」
フレン「きっとユーリの考えすぎだよ。せっかく頂いたものだし、ご厚意に甘えないと」
ユーリ「う〜〜ん......」
フレン「ほらユーリ、早く行こう。その店人気だから、早くしないと売り切れちゃうよ」
ユーリ「何っ!?行くぞ、フレン!」
フレン「はいはい。(やっぱり、クレープ食べたかったんじゃないか)」








ふたりが来たその店は、フレンの言うとおり人気の店らしく、数人の行列ができていた。
行列に並んで数分後、無事にお目当てのクレープをゲットできたユーリは、幾分ご機嫌だ。
ユーリの手にはチョコバナナのクレープ。フレンの手には、ユーリが最後まで悩んでいたいちごカスタードが握られていた。
「ほら、ユーリ」
手にしたクレープをユーリに差し出せば、顔を乗り出してきてぱくりとひとくち。
それもいつもの光景で、おいしそうに頬張るユーリの表情をみるのも、フレンが癒されるひとときだ。
「・・・・・・うっ」
「え?」
ちいさく身震いしたユーリが、自分の身体を抱きしめるようにして、きょろきょろと視線をさまよわせた。
「どうしたの?」
「いや、なんか今、寒気が......」
「風邪?」
フレンはユーリの前髪をさらりと掻き上げて、自分の額をユーリの額へ軽くくっつけた。
「熱は...ないようだね」
「ああ、身体はぴんぴんしてんだけどな」
おでこを離してもユーリはまだ不安を拭えないようで、幾分落ち着かない様子だ。
「なんとなく、どこかしらか視線を感じるような気がして......」
そう言われて周囲の気配を探ってみるが、周囲も親子連れやカップルたちばかりで、そんな不穏な空気は感じない。
フレンはユーリの前髪を整えてやり、そのまま宥めるように頭をぽんぽんと撫でてやった。
「ユーリの気のせいじゃない?」
「ん〜、オレもそう思うんだけどな」
「せっかくのデートなんだから、楽しもうよ」
「ああ......」
クレープも食べ終えて、次はどこへ行こうかとフレンが背を向けたとき、ユーリがそっとフレンとの距離を縮めた。
「なぁ、フレン」
フレンの手をとって、軽く指をからめてきて。
「ユーリ......?」
ぐっと近づいたユーリから、ふわりとシャンプーの良い香りが鼻腔をくすぐる。
それだけで、少し心臓が高鳴るのが解った。
「......なぁフレン、こんなこと言うのも何だけどさ」
「な、なに?」
「やっぱ、オレの部屋でゆっくりしねぇ?あそこだと、オレも落ち着けるしさ」
少し伏せ目がちに呟くユーリの頬が、ほんのり朱に染まっている。
しかも、こんな往来の真ん中で手をつないでくるなんて、滅多にないことで。
ユーリにとっては、ただ落ち着きたいだけなのかもしれないが、捉えようによってはとんでもない台詞を口走っていることを、彼は自覚しているのだろうか。
やたらうるさい心臓の音は、ユーリには聞こえていないだろうか。
「わ...わかったよ。じゃあ、行こうか」
フレンは指を絡めた手に少しだけ力を込めて、手をつないだまま下町のほうへと歩いていった。








エステル「ちっ。感づかれたか......」
レイブン「じょ、嬢ちゃん!?今舌打ち...」
リタ「ちょっと。なんでおっさんがココにいるわけ?」
レイブン「えっ。や、単におっさんは、前途ある若者の将来が気になっただけで......」
ジュディス「心配しなくても、仲良くやってるみたいだったわね」
リタ「別にいつもと変わらんないでしょ」
エステル「でも、今日も良い収穫がありました。ユーリ、ぐっじょぶです」
パティ「おお。また新作の予感なのじゃ」
エステル「はい。もう1作書き上げました!」
リタ「えっ、今の間に!?」
レイブン「早っ!!」
エステル「帰ったら、さっそくサイトにアップしますっ」
ジュディス「うふふ。すぐにチェックしないと、ね」
レイブン「ちょ、嬢ちゃんサイト作ってるの!?おっさんにもアドレス教えて!」
パティ「残念ながら、男子禁制じゃ」
リタ「むしろ、おっさん禁制ね」
レイブン「リタっちヒドイ!!」



今回も、エステリーゼ様が大活躍してくれました。うふふw
でも、さすがにユーリがかわいそうになっていたので、今回は少しは良い思いをさせてあげられた...かな?

一番良い思いをしたのは、フレンっていうオチですが(笑)



(2010.04.29)



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