ふと目をあけると、部屋がほんのり白みがかってきていた。 夜明けが近いらしい。 まだ、起きるには早い時間なので 寝なおそうと、ユーリは軽く寝返りをうった。 身体を横に向けると フレンの寝顔が視界いっぱいに入ってきた。 『うっわ....!!』 突然のことに驚いて 心臓がバクバクいっている。 昨夜、自分は この目の前にいる彼に、初めて抱かれたのだ。 このベッドに押し倒されて。 咬みつかれるようなキスをされて。 もうお互いに、自分を止められなくなって。 まだ耳に残る彼の息遣いを思い出し うっかりまた火がつきそうになる自分を あわてて制止する。 『.......まつげ、長ぇな.....』 思えば、コイツの顔をこんな近くで じっくり見ることなんてないよな...。 小さいころは、いっしょに寝ることはたびたびあったが フレンが町を出ていってからは、会うことすらなく。 こうして騎士団に入って再会してからも 同室になったとはいえ、 同じベッドで寝ることなんてあるハズもなく。 入団したころは、お互い衝突することも多かったが 最近になって、ようやく落ち着いてきたころだった。 やっと、ふたりの落ち着ける良い距離感を見つけられたと思っていたのに。 すこし前から、フレンの様子がなんとなくおかしいことには気づいていた。 でも、それが気のせいではなく、確認に変わったとき 自分の中にも、気持ちの変化が起きた。 この距離では、物足りない。 もっと彼に、近づきたい。 『後悔はしてない......よな?』 たとえ、フレンにとって一時の気の迷いだったとしても 俺は俺の意思で、この一歩を踏み出したつもりだ。 この先どうなるのか、まだ分からないけれど...。 「ん......ユーリ......」 フレンが呟いて、抱きしめられ、身体を引き寄せられる。 起こしてしまったか?と一瞬思ったが どうやら起きたわけではなさそうだ。 彼の寝息を肌で感じる。 こうやって、間近で人の体温を感じるのは いつぶりだろうか。 恥ずかしい気持ちもあるが こういうのも、悪くはない。 ユーリは、目の前に眠る彼の背中に腕を回して もう一度、しばしの眠りについた。 |
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