それからはもう 余裕もなくて 気がつけば、彼をベッドに押し倒していた。 キスの合間に、カチッと音が響く。 歯と歯のぶつかる音。 キスなんて、慣れているはずもなく 僕にとっては、こういうことも初めてで。 ユーリが欲しい....。 その想いだけで気持ちがいっぱいになり。 「っ.........はあっ、フレン.......!」 苦しそうに、ユーリが喘ぎ 僕の名前を呼ぶ。 綺麗な肌には、すでに朱の模様が散りばめられていて 胸の彩りに口づけすると びくんと身体をのけぞらせる。 ユーリが、この腕の中にいる。 僕の動きひとつひとつを、感じてくれている。 「ユーリ.....」 唯一、彼が身にまとっていた腰のタオルに手をかけると 「.........っ!」 ユーリの手が制止するように、僕の手に重なってきた。 「どうしたの、ユーリ。嫌?」 「っ、や.......ヤじゃねぇよっ.....!」 ぱっと手を放し、そっぽを向く。 顔を覗き込むと、顔が真っ赤になっている。 こんなユーリを見るのも、初めてだ。 ゆっくりと、タオルをめくると ユーリのものは、すでに天を仰いでいた。 それがどういう意味なのか、同じ男として分かる。 他の男のものならば、汚らわしく感じるだろうに なぜか今は愛おしくもあり、美しくも思える。 僕はそれを、ためらいもなく口に含んだ。 「あっ!....あぁっ...!!」 ユーリの身体が、弓のようにしなる。 口に含んだものが、大きさを増していくのが分かる。 「ふぅっ....んんー....」 上下に動かすたびに、ユーリの口から甘い声がもれる。 快楽に耐えるように、きつくシーツをつかむ指に手を重ねて ユーリの感じる場所を探るように、舌を絡ませる。 「やっ、フレン.....も.....放せ......。ムリ......」 喘ぐ息の合間に、ちいさくユーリが懇願する。 でも、聞こえないフリをして、行為を続けた。 「ああっ!ダメ...だっ!!フレン、やっ.......あああああっ......!!」 ドクンと脈をうって、熱い液体が吐き出される。 口の中に、何とも言えない味が広がった。 「はぁっ.....はぁ.......」 顔をあげると、すっかり果ててしまったユーリが ちらりとこちらに顔を向けた。 「おま........まさか、ぜんぶ飲んだ.......のか?」 「うん。だって...........ユーリの、だもの」 「....................どんだ変態...だな」 どんなに憎まれ口を叩こうとも 今のその顔では、何を言われても苦にならない。 それより...... 「ね、ユーリ。僕も限界...。いいでしょ....?」 そう耳元で囁いて、彼の秘部へと指を這わせる。 「.......................好きにしろよ...」 そう言って、僕の背中に腕を回してきた。 「....っ!........くぅ......」 指を濡らして、少し中に滑り込ませただけで ユーリは苦しそうに、僕の背にしがみついてくる。 正直、キツい。 本当にこんなところに入れていいものかと、ためらうくらいに。 ゆっくりとほぐすように指を動かし続ける。 「....は.....フレ...ン、....もう、いいから......」 「ユーリ?でもまだ...................」 「俺が良いっつってんだから、.....良いんだよ」 ユーリが僕の顔を引き寄せて、甘く舌を絡ませてくる。 そんなことをされては....... 「......っ、ユーリ......!」 彼の腰を持ち上げ、引き寄せて ゆっくりと、僕の体重をかけていく。 「あっ、ああああああ!!!」 苦しそうに、眉間にしわを寄せて叫ぶ。 相当痛いだろうと分かっていながらも 僕ももう、後に戻ることはできなくなっていた。 「ユーリ.....、ユーリ...っ!」 彼の中はとても熱くて 熱に浮かされるように、何度も何度も彼の名前を呼んでいた。 「あぁっ、フレン.....、ああ......っ!!」 乱れる彼をこの腕に抱きしめて その中に、熱を放った。 少し興奮も落ち着いてきたころ 僕は正直、少し後悔をしていた。 なんというか.....その、 すごい惨状だったから.......。 嫌がるユーリを押さえつけて、後始末をしてあげたものの 時間が経てば経つほど、罪悪感がこみあげてくる。 「ユーリ、その.............ごめん」 ユーリは全身シーツにくるまったまま、顔だけこちらに向けてきた。 「....なんで謝んだよ」 「いや、だって.........」 いくら自分に余裕がなかったとはいえ まさか、ここまでなるとは想像していなかったから....。 「まさかお前、俺としたこと、後悔してるのか?」 「やっ、してない!してないよ!!」 「....だったら、謝る必要ねぇじゃねぇか。 そもそも、俺が...良いって言ったんだし......」 ユーリは頬を染めて、顔をシーツにうずめていく。 僕は慌てて、そのシーツをめくり もう一度、彼に口づけをして 「........好きだよ、ユーリ」 まだ言葉にしていなかったその一言を、口にした。 「そーゆーことは、先に言えよ。ばーか」 |
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